婚姻費用とは、別居してから離婚するまでの間、収入の高い配偶者から低い配偶者に対して支払われる生活費のことです。
もし、別居や離婚を考えているのであれば、婚姻費用についても考えるようにしたいところです。
目次
1. 婚姻費用を請求するメリット
婚姻費用を請求するメリットとして、以下の3つが挙げられます。
(1)経済的に余裕ができ、精神的な安定につながる
(2)婚姻費用を支払い続けてもらうことで、将来の養育費の不払いのリスクを低くできる
(3)離婚を拒否する配偶者に対し、金銭的なプレッシャーをかけられる
(1)経済的に余裕ができ、精神的な安定につながる
婚姻費用は毎月、配偶者から支払いを受けられるお金になります。
そのため、毎月の生活費として毎月の家計に入れることができるので、経済的な安定につながり、また精神的な安定にもつながっていきます。
離婚というのは人生において一大ライフイベントであり、これまでの経験から、結婚時の3倍以上のストレスがかかるのではないかと思っています。
そのため、精神的な不調を訴える方は少なくありません。
経済的な不安はストレス原因の一因となります。
それを少しでも軽減するため、婚姻費用を請求することを考えたいところです。
(2)婚姻費用を支払い続けてもらうことで、将来の養育費の不払いのリスクを低くできる
婚姻費用を支払い続けるというのは、配偶者にとって、毎月の支払いの予算の中にそれを組み込むことが必要になることを意味します。
離婚後、別居した家族に対してしばらく支払いをしていなかった配偶者は、家族に対して、なんらかの金銭を支払うという感覚が抜けてしまい、毎月の給料についても自分の自由に使うようになる方が少なくありません。
そうなると、離婚後になって、いきなり養育費を毎月支払うようにするというのは配偶者にとっては、それまで自由に使えていた給料をそれに割くということになるため、負担を大きく感じてしまうのです。
別居後も、同居時と同じように、家族に対して生活費=婚姻費用は払うものとしておき、実際、毎月、決まった金額を振り込むというクセをつけておくと、婚姻費用から養育費に変わった後も支払いが続きやすく、不払いのリスクを下げることができます。
(3)離婚を拒否する配偶者に対し、金銭的なプレッシャーをかけられる
婚姻費用は、収入の低い配偶者及び同居する子どもがいる場合はその費用を含んで計算されます。
それに対し、養育費については、配偶者の分は計算に入りません。
そのため、一般的には、婚姻費用の金額の方が、養育費の金額よりも高くなります。
婚姻費用を支払う配偶者からすれば、早めに離婚したほうが毎月の支払額が低くなりますので、早期の離婚には金銭的なメリットがあるのです。
離婚条件について交渉を進める際、長引くよりはこの条件で合意しようというモチベーションにもなるため、婚姻費用の請求は離婚交渉を優位に進めるために必要ともいえます。
2. 過去に遡って婚姻費用を請求することが難しい場合があることに注意しましょう
とにかく早く離婚できればいいから、婚姻費用は請求しませんと仰る依頼者の方もいらっしゃいます。
もちろん、それも可能です。
ただ、離婚を拒否され、なかなか交渉が進まず、その一方で婚姻費用の請求通知もしていなかったので後から遡って過去の分の婚姻費用の請求をすることもできないという事態に陥ることはありえます。
それを防ぐための手段はありますので、その点を含めて進め方をご相談しましょう。
3. まとめ
当事務所では、婚姻費用の請求をするかどうかを含め、依頼者の方のご意向を尊重し、弁護士から将来の見通しを含めてお話をするようにしております。
婚姻費用の請求に迷ったら、まずはご相談ください。